April Fourteenth Scenes (FAFT)
From Scratchpad
//Final day
2BD93, 26, 眠ったのはいつだったか──
2BDAE, 30, 目が覚めたのはいつだったか──
2BDCD, 34, ずっと泥の中にいたような気がする。
2BDF0, 50, 何度かドアがノックされたり、携帯が鳴ったりしたが、
2BE23, 14, 動けなかった。
2BE32, 10, ピピピピッ
2BE3D, 6, がんっ
2BE44, 54, 殴り飛ばした目覚まし時計は、床で弾み、壁にぶつかった。
2BE7B, 12, 止まらない。
2BE88, 18, 「うるせえな……」
2BE9B, 26, ベッドを降り時計を止める。
2BEB6, 40, ベッドに目をやると、嵐の後のような惨状。
2BEDF, 36, しわくちゃのシーツに、ずれたマット。
2BF04, 28, 枕には逆流した胃液まである。
2BF21, 38, 替えの枕カバー、買っておいてよかった。
2BF48, 12, ……とまあ、
2BF55, 42, そのくらいのことは考えられるようになった。
2BF80, 28, ともかくシャワーを浴びよう。
2BF9D, 18, 身体がべたべただ。
2BFB0, 44, 冷たいシャワーを浴びて、気づいたことがある。
2BFDD, 14, 今日は平日だ。
2BFEC, 18, つまり授業がある。
2BFFF, 22, 行くか、行かないか──
2C016, 16, 行こう、と思う。
2C027, 34, 一刻も早く日常に身を投じたかった。
2C04A, 36, 日常で、ふざけた記憶を洗い流すんだ。
2C06F, 10, 「よしっ」
2C07A, 32, 気合いを入れて、制服に袖を通す。
2C09B, 10, 髪を整え、
2C0A6, 10, 歯を磨き、
2C0B1, 14, カバンを握る。
2C0C0, 26, そして、ドアの前に立った。
2C0DB, 7, blood01
2C0E3, 36, ここを出たら、何があるかわからない。
2C108, 38, いきなり、会長に遭遇するかもしれない。
2C12F, 12, そしたら……
2C13C, 34, 無意識に、首筋を手で押さえていた。
2C15F, 24, 唾液に濡れた白い首筋──
2C178, 26, 確かに走る2本の赤い筋──
2C193, 26, 嫌な想像を頭から追い出す。
2C1AE, 12, バカらしい。
2C1BB, 24, そんなことあるわけない。
2C1D4, 36, 礼拝堂で、会長が人の血を吸っていた?
2C1F9, 10, 冗談だろ?
2C204, 36, 味噌汁で顔洗って出直したほうがいい。
2C229, 16, ほんと笑えない。
2C23A, 16, これっぽっちも。
2C24B, 12, class00_head
2C258, 12, class00_loop
2C265, 12, 「おはよう」
2C272, 26, いつもより明るく挨拶する。
2C28D, 11, fa05_001940
2C299, 26, 「よかった。ちゃんと来た」
2C2B4, 4, 陽菜
2C2B9, 11, fa14_003230
2C2C5, 12, 「ほんとだ」
2C2D2, 2, 司
2C2D5, 14, 「どうした?」
2C2E4, 11, fa05_001950
2C2F0, 98, 「お茶会しようと思って電話したんだけど、ぜんぜん出ないし、ノックしても返事がないから心配してたの」
2C353, 28, 「あー、ごめん、爆睡してた」
2C370, 11, fa05_001960
2C37C, 8, 「もー」
2C385, 22, 呆れたように笑う陽菜。
2C39C, 11, fa14_003240
2C3A8, 22, 「ま、無事でなにより」
2C3BF, 16, ぼそっと言う司。
2C3D0, 20, 「ほんと、ごめんな」
2C3E5, 14, 苦笑いを返す。
2C3F4, 6, そう。
2C3FB, 36, 俺が触れたかったのは、こんな空気だ。
2C420, 56, あと数日もすれば、昨夜の記憶など洗い流してくれるはずだ。
2C459, 22, 何事もなかったように。
2C470, 36, 「今度のお茶会、お菓子は俺が持つよ」
2C495, 11, fa05_001970
2C4A1, 42, 「いいよいいよ、そんな気をつかわなくても」
2C4CC, 18, 「気持ちだからさ」
2C4DF, 34, 人間、生きていれば嫌なこともある。
2C502, 54, だがそれを、後生大事に抱えて生きてく必要がどこにある。
2C539, 68, めくり取ったカレンダーといっしょに捨ててしまえばいい、そんなものは。
2C57E, 28, 何事もなく、放課後を迎えた。
2C59B, 18, そう、これでいい。
2C5AE, 30, あとは寮に帰れば、一日終了だ。
2C5CD, 11, fa03_000560
2C5D9, 10, 「支倉君」
2C5E4, 4, 桐葉
2C5E9, 34, 紅瀬さんが、すっと俺の横に立った。
2C60C, 16, 「どうしたの?」
2C61D, 11, fa03_000570
2C629, 8, 「あれ」
2C632, 36, と、紅瀬さんが顎で教室の入口をさす。
2C657, 44, 目をやって、一瞬、心臓が止まりそうになった。
2C684, 14, 「副会長……」
2C693, 38, 教室の入口で、副会長が手招きしていた。
2C6BA, 46, 今まで、教室まで来たことなんてなかったはずだ。
2C6E9, 12, 「なんだろ」
2C6F6, 11, fa03_000580
2C702, 24, 「本人に聞いてみたら?」
2C71B, 26, 背中を汗が伝うのを感じる。
2C736, 11, fa01_003360
2C742, 34, 「土曜日はありがと、楽しかったわ」
2C765, 6, 瑛里華
2C76C, 14, 「こちらこそ」
2C77B, 40, 近づきすぎたのか、副会長が一歩後退する。
2C7A4, 11, fa01_003370
2C7B0, 38, 「兄さん、昨日は何もしてこなかった?」
2C7D7, 14, 内容が内容だ。
2C7E6, 24, 口にしていいものか迷う。
2C7FF, 10, それに……
2C80A, 66, 口にしてしまったら、昨夜のことがすべて現実になってしまう気がした。
2C84D, 11, fa01_003380
2C859, 22, 「いや、なんでもない」
2C870, 11, fa01_003390
2C87C, 50, 「ほんと、あの人のいたずら好きにも困ったものだわ」
2C8AF, 10, いたずら。
2C8BA, 20, そうだ、いたずらだ。
2C8CF, 32, 昨夜のあれもいたずらに違いない。
2C8F0, 16, 心配して損した。
2C901, 42, 「また、風呂事件みたいのはご勘弁だからな」
2C92C, 11, fa01_003400
2C938, 26, 「あれは、たちが悪すぎよ」
2C953, 20, 頬を膨らます副会長。
2C968, 58, 様子を見るに、どうやら副会長は昨夜のことを知らないようだ。
2C9A3, 11, fa01_003410
2C9AF, 24, 「ところで、もう帰り?」
2C9C8, 8, 「ああ」
2C9D1, 11, fa01_003420
2C9DD, 40, 「それじゃ、昇降口まで一緒に行きましょ」
2CA06, 32, 「わかった。カバン取ってくるよ」
2CA27, 58, 副会長と他愛のない世間話をしながら、昇降口までやってきた。
2CA62, 54, 「そういえば、副会長はどうして生徒会をやってるんだ?」
2CA99, 34, 下駄箱のふたを開けながら、尋ねる。
2CABC, 11, fa01_003430
2CAC8, 12, 「そうねえ」
2CAD5, 34, 同じく、下駄箱のふたを開く副会長。
2CAF8, 18, 副会長のクラス──
2CB0B, 32, 5年2組の下駄箱は、俺の背面だ。
2CB2C, 11, fa01_003440
2CB38, 10, 「あ……」
2CB43, 11, fa01_003450
2CB4F, 8, 「これ」
2CB58, 30, 副会長は手紙を2通持っていた。
2CB77, 22, 「珍しくないんだろ?」
2CB8E, 11, fa01_003460
2CB9A, 10, 「そうね」
2CBA5, 16, あっさりと言う。
2CBB6, 10, さすがだ。
2CBC1, 18, 「どうするんだ?」
2CBD4, 11, fa01_003470
2CBE0, 22, 「読んでから決めるわ」
2CBF7, 11, fa01_003480
2CC03, 40, 「今のところ、誰とも付き合う気ないけど」
2CC2C, 22, 「ずいぶんと親切だな」
2CC43, 11, fa01_003490
2CC4F, 50, 「この人の気持ちをなかったことにしたくないだけよ」
2CC82, 10, なぜか──
2CC8D, 22, リアクションに迷った。
2CCA4, 11, fa01_003500
2CCB0, 66, 「私はこの学院にいるすべての人に、楽しい学院生活を送ってほしいの」
2CCF3, 11, fa01_003510
2CCFF, 34, 「もちろん、これを書いた人にもね」
2CD22, 26, と、カバンに手紙をしまう。
2CD3D, 26, 「なら、OKしてやれば?」
2CD58, 11, fa01_003520
2CD64, 10, 「バカ?」
2CD6F, 11, fa01_003530
2CD7B, 62, 「こんなとこで嘘ついても、お互いに嫌な思い出しか残らないわよ」
2CDBA, 28, ま、馬鹿な質問だったと思う。
2CDD7, 16, 「それもそうか」
2CDE8, 11, fa01_003540
2CDF4, 50, 「さっき、なんで生徒会やってるのかって聞いたわね」
2CE27, 40, 副会長が、茶色のローファーをぽんと置く。
2CE50, 60, しなやかな足をその中に収め、とんとんと、つま先で地面を叩く。
2CE8D, 18, そして、俺を見た。
2CEA0, 11, fa01_003550
2CEAC, 78, 「みんなに楽しい学院生活を送ってもらうために、自分にできることを考えた結果よ」
2CEFB, 22, そう言って笑う副会長。
2CF12, 26, なんだか、まぶしく見えた。
2CF2D, 16, 「立派なもんだ」
2CF3E, 70, ちょっとくたびれ気味のスニーカーをはき、新品の上履きを下駄箱に入れる。
2CF85, 24, あとは、ふたを閉めて……
2CF9E, 10, 「あれ?」
2CFA9, 46, ふたは、誰かの手でしっかりと押さえられていた。
2CFD8, 7, noise04
2CFE0, 11, fa11_002830
2CFEC, 72, 「なかったことにされかかってる俺の気持ちは、はたしてどこに行くのかな?」
2D035, 12, 声も出ない。
2D042, 11, fa11_002840
2D04E, 24, 「燃えないゴミ箱かい?」
2D067, 16, 「か、会長……」
2D078, 42, 後ずさろうとする俺の腕を、会長がつかんだ。
2D0A3, 11, fa11_002850
2D0AF, 76, 「せめて、燃えるゴミにして空に還してほしいね。そのほうがロマンチックだろ?」
2D0FC, 11, fa01_003560
2D108, 62, 「兄さんの気持ちなんて、どこの自治体でも回収してくれないわよ」
2D147, 11, fa11_002860
2D153, 12, 「ひどいな」
2D160, 11, fa01_003570
2D16C, 32, 「んなことより、いきなりなによ」
2D18D, 11, fa11_002870
2D199, 26, 「ちょっと用事があってね」
2D1B4, 11, fa11_002880
2D1C0, 34, 「ふたりとも、これからいいだろ?」
2D1E3, 10, 「え……」
2D1EE, 11, fa11_002890
2D1FA, 60, 「取って食おうってんじゃないんだから、そんな緊張しないでよ」
2D237, 11, fa11_002900
2D243, 34, 「さ、監督生室でお茶でも飲もう♪」
2D266, 22, ぐいっと腕を引かれる。
2D27D, 24, こうなればしかたがない。
2D296, 64, 昨夜のいたずらの意図を、納得いくまで聞かせてもらおうじゃないか。
2D2D7, 24, 「会長、一人で歩けます」
2D2F0, 11, fa11_002910
2D2FC, 14, 「これは失礼」
2D30B, 28, 手を離し、軽く万歳する会長。
2D328, 11, fa01_003580
2D334, 28, 「今度は、なに企んでるの?」
2D351, 11, fa11_002920
2D35D, 26, 「真面目な話だよ、珍しく」
2D378, 11, fa01_003590
2D384, 32, 「自分で言ってれば世話ないわね」
2D3A5, 36, 副会長は、ふん、と一つ鼻を鳴らした。
2D3CA, 11, fa01_003600
2D3D6, 8, 「ねえ」
2D3DF, 8, 「ん?」
2D3E8, 11, fa01_003610
2D3F4, 26, 「兄さんとなにかあった?」
2D40F, 20, 「昨日、ちょっとな」
2D424, 11, fa01_003620
2D430, 12, 「そう……」
2D43D, 11, fa01_003630
2D449, 32, 「忠告するのが遅かったみたいね」
2D46A, 26, 悔しげに顔を歪める副会長。
2D485, 38, 「そんな顔するなよ。ただのいたずらさ」
2D4AC, 56, 人の血を吸ってたなんて、いたずら以外のなんだというんだ。
2D4E5, 58, マジだとしたら、会長がヤバい犯罪者か吸血鬼になってしまう。
2D520, 11, fa11_002930
2D52C, 18, 「お客人の到着だ」
2D53F, 11, fa12_000770
2D54B, 10, 「そうか」
2D556, 44, 部屋では、東儀先輩がパソコンに向かっていた。
2D583, 11, fa11_002940
2D58F, 24, 「瑛里華、悪いがお茶を」
2D5A8, 11, fa01_003640
2D5B4, 14, 「わかったわ」
2D5C3, 34, 副会長は隣の給湯室へ入っていった。
2D5E6, 11, fa11_002950
2D5F2, 12, 「座ってよ」
2D5FF, 8, 「はい」
2D608, 28, この椅子に座るのは3回目だ。
2D625, 42, 前の2回と、部屋の雰囲気は変わっていない。
2D650, 50, どうでもいい世間話でも始まりそうな、気軽な空気だ。
2D683, 28, 「今日は、なんの用ですか?」
2D6A0, 11, fa11_002960
2D6AC, 40, 「せっかちだね。お茶が出るまで待ちなよ」
2D6D5, 11, fa11_002970
2D6E1, 18, 「あ、そうだ……」
2D6F4, 52, 思い出したように、会長席の後ろから何かを取ってくる。
2D729, 11, fa11_002980
2D735, 26, 「これ、君の落とし物だよ」
2D750, 26, テーブルに紙袋が置かれた。
2D76B, 22, どくり、と心臓が鳴る。
2D782, 38, 袋には『菓子舗さゝき』と書かれていた。
2D7A9, 48, 言うまでもなく、俺が東儀先輩から預かったものだ。
2D7DA, 34, 時計の秒針が進む音が聞こえてきた。
2D7FD, 56, 俺の脈拍に比べ、それはずいぶん呑気なリズムを刻んでいる。
2D836, 11, fa12_000780
2D842, 18, 「伊織、ちょっと」
2D855, 11, fa11_002990
2D861, 8, 「失礼」
2D86A, 60, 二人は難しそうな表情でパソコンを眺め、なにやら話しはじめた。
2D8A7, 62, 会長の横顔を見ていると、昨夜の光景が記憶の底から浮かんでくる。
2D8E6, 26, あれは冗談なんかじゃない。
2D901, 52, あの手で女の子を拘束し、あの口で血を吸っていたんだ。
2D936, 62, そんな、ほしくもない確信が、どこからかわきあがってきてしまう。
2D975, 6, かちゃ
2D97C, 11, fa01_003650
2D988, 12, 「お待たせ」
2D995, 18, 「……ありがとう」
2D9A8, 11, fa01_003660
2D9B4, 14, 「部屋暑い?」
2D9C3, 32, いつの間にか、額が汗だくだった。
2D9E4, 42, ポケットを探るが、ハンカチは見あたらない。
2DA0F, 11, fa01_003670
2DA1B, 26, 「これで良かったら使って」
2DA36, 36, ポケットティッシュを袋ごと渡された。
2DA5B, 11, fa11_003000
2DA67, 20, 「さて、始めようか」
2DA7C, 52, 会長と東儀先輩がパソコンを離れ、こちらの席に座った。
2DAB1, 11, fa01_003680
2DABD, 40, 「ひとを働かせておいて、何やってたのよ」
2DAE6, 11, fa11_003010
2DAF2, 14, 「ソルティア」
2DB01, 20, 暇つぶしじゃねえか。
2DB16, 11, fa01_003690
2DB22, 14, 「泣かすわよ」
2DB31, 11, fa11_003020
2DB3D, 52, 「そうカリカリするな。これから面白い話をするからさ」
2DB72, 11, fa01_003700
2DB7E, 12, 「まったく」
2DB8B, 32, 副会長も席に着き、全員が揃った。
2DBAC, 11, fa11_003030
2DBB8, 26, 「さて、単刀直入に行こう」
2DBD3, 30, 言ってから、紅茶に口をつける。
2DBF2, 48, 知らずに噛みしめた奥歯が、ぎり、と悲鳴をあげた。
2DC23, 11, fa11_003040
2DC2F, 30, 「昨日のことをどう考えてる?」
2DC4E, 14, 「それは……」
2DC5D, 36, 「会長が、女の子の血を吸っていたと」
2DC82, 11, fa01_003710
2DC8E, 14, 「兄さんっ!」
2DC9D, 28, 副会長が勢いよく立ちあがる。
2DCBA, 11, fa11_003050
2DCC6, 26, 「みっともない声出すなよ」
2DCE1, 34, 会長は俺を見たまま、副会長に言う。
2DD04, 48, 穏やかだが重みのある声に、副会長も腰を下ろした。
2DD35, 11, fa11_003060
2DD41, 12, 「それで?」
2DD4E, 14, 「それで……」
2DD5D, 11, fa11_003070
2DD69, 20, 「俺はなんなんだ?」
2DD7E, 34, 「あれが演技とかじゃなければ……」
2DDA1, 11, fa11_003080
2DDAD, 42, 「演技ではないよ。俺は血を吸った、実際に」
2DDD8, 14, 沈黙が降りる。
2DDE7, 8, 異常だ。
2DDF0, 22, この人は、異常なんだ。
2DE07, 48, 喉まで出かかっている言葉が、なかなか出てこない。
2DE38, 11, fa11_003090
2DE44, 32, 「どうした? 俺はなんなんだ?」
2DE65, 20, 「……い、異常です」
2DE7A, 20, 苦労して、声にする。
2DE8F, 11, fa11_003100
2DE9B, 22, 「ところが正常なんだ」
2DEB2, 16, にやり、と笑う。
2DEC3, 11, fa11_003110
2DECF, 52, 「なぜなら、俺たちは人間の血を糧とする生物だからだ」
2DF04, 11, fa11_003120
2DF10, 34, 「君にわかりやすく言えば、吸血鬼」
2DF33, 18, アホか、と思った。
2DF46, 40, だが、いつものようにはツッコめなかった。
2DF6F, 56, それは、場の雰囲気に飲まれていたせいかもしれなかったし、
2DFA8, 64, 俺が徐々に、その事実を受け入れはじめているからかもしれなかった。
2DFE9, 11, fa11_003130
2DFF5, 32, 「と言っても、信じないだろうな」
2E016, 11, fa11_003140
2E022, 42, 「そうだな……例えばこういうのはどうだ?」
2E04D, 16, 立ちあがる会長。
2E05E, 10, その姿が、
2E069, 16, 一瞬で消える──
2E07A, 12, tati_z110120
2E087, 11, fa11_003150
2E093, 8, 「とか」
2E09C, 26, ぽん、と肩に手を置かれた。
2E0B7, 12, 「っっ!?」
2E0C4, 11, fa11_003160
2E0D0, 24, 「身体能力は抜群なんだ」
2E0E9, 11, fa11_003170
2E0F5, 108, 「例えば、オリンピックで金メダルを取ろうとしたら、それらしいタイムになるよう手加減しないといけないくらいに」
2E162, 22, 肩から、感触が消える。
2E179, 6, と……
2E180, 11, tati_110102
2E18C, 38, 会長はテーブルの向かい側に立っていた。
2E1B3, 36, 今度は、なんとか移動の軌跡を追えた。
2E1D8, 30, 別に消えたわけじゃないようだ。
2E1F7, 11, fa11_003180
2E203, 32, 「なんなら、後で競争してもいい」
2E224, 11, fa12_000790
2E230, 34, 「そう簡単には、信じられんだろう」
2E253, 11, fa11_003190
2E25F, 8, 「ふむ」
2E268, 20, 「東儀先輩は、その」
2E27D, 11, fa12_000800
2E289, 54, 「俺は違う。ただ伊織や瑛里華とは長い付き合いなのでな」
2E2C0, 30, 「知っていて、付き合って……」
2E2DF, 11, fa12_000810
2E2EB, 14, 「もちろんだ」
2E2FA, 22, 副会長に視線を向ける。
2E311, 11, fa01_003720
2E31D, 22, 「……兄さんと同族よ」
2E334, 28, 腹立たしげに眉を歪めていた。
2E351, 48, ティーカップがカタカタとかすかな音を立てていた。
2E382, 38, 俺の膝が、小刻みに振動しているせいだ。
2E3A9, 11, fa11_003200
2E3B5, 58, 「ま、あとは、昨日の女の子に話を聞いたらいいかもしれない」
2E3F0, 46, 礼拝堂での、苦しげな嗚咽が耳の奥によみがえる。
2E41F, 36, 「あの子は……知り合いなんですか?」
2E444, 11, fa11_003210
2E450, 36, 「いや。可愛かったから選んだだけだ」
2E475, 11, fa11_003220
2E481, 44, 「彼女、昨日のことは何も覚えていないはずだ」
2E4AE, 22, 「それは、どういう?」
2E4C5, 36, 勝手に動く膝を手で押さえながら言う。
2E4EA, 11, fa11_003230
2E4F6, 36, 「俺たちは、人の記憶を消せるんだよ」
2E51B, 11, fa11_003240
2E527, 66, 「血を吸った相手が、こっちを覚えてたら困るだろ? 生きる知恵だね」
2E56A, 44, 理にはかなっているが、常識からは外れていた。
2E597, 11, fa11_003250
2E5A3, 64, 「首の傷までは消せないから、絆創膏かなんかで隠してるだろうけど」
2E5E4, 70, 「それだって、不思議に思うでしょう? なんで自分はケガしてるんだって」
2E62B, 11, fa11_003260
2E637, 24, 「ところがさにあらずさ」
2E650, 11, fa11_003270
2E65C, 56, 「たいがいの人は、自分が納得できる理由をつけておしまい」
2E695, 11, fa11_003280
2E6A1, 82, 「仮に覚えていたとしても、辛いことや嫌なことは、なかったことにしちゃうのが普通さ」
2E6F4, 16, 会長が俺を見る。
2E705, 48, すべて見透かされてしまいそうな、細く鋭利な視線。
2E736, 11, fa11_003290
2E742, 6, 「ね」
2E749, 28, お前だって、そうだったろう?
2E766, 28, 無言のうちに語りかけてくる。
2E783, 56, 凍るような恐怖の中で、腹の底だけが、じわっと熱くなった。
2E7BC, 22, 「だ、だからなんです」
2E7D3, 11, fa11_003300
2E7DF, 60, 「別に責めてるんじゃない。健全に生きるために備わった知恵だ」
2E81C, 11, fa11_003310
2E828, 44, 「俺たちが、人の記憶を消せるのと変わらない」
2E855, 30, そう言って、会長は紅茶を飲む。
2E874, 11, fa12_000820
2E880, 56, 「伊織、あまり脅かすな。喧嘩がしたいわけじゃないだろう」
2E8B9, 11, fa11_003320
2E8C5, 20, 「ああ、もちろんだ」
2E8DA, 11, fa11_003330
2E8E6, 16, 「なあ、瑛里華」
2E8F7, 11, fa01_003730
2E903, 16, 「うるさいわね」
2E914, 11, fa11_003340
2E920, 52, 「ともかく、今までのところはわかってもらえたかい?」
2E955, 26, わかるもわからないもない。
2E970, 16, 話が突飛すぎる。
2E981, 16, 悪い冗談の類だ。
2E992, 54, そう考えたかったが、無意識に震える身体がそうさせない。
2E9C9, 30, 「これも……いたずらですか?」
2E9E8, 11, fa11_003350
2E9F4, 8, 「違う」
2E9FD, 11, fa11_003360
2EA09, 70, 「俺は、支倉君に生徒会の一員になってほしいんだ。だから正体を明かした」
2EA50, 11, fa11_003370
2EA5C, 60, 「秘密にしたまま誘うことも考えたが、長い間にはいずれバレる」
2EA99, 11, fa11_003380
2EAA5, 42, 「なら、先に話しておいたほうがいいだろう」
2EAD0, 20, 「ありがた迷惑です」
2EAE5, 72, 「だいたい、この生徒会だって、なんか目的があって集まってるんでしょう?」
2EB2E, 11, fa11_003390
2EB3A, 52, 「活動自体は普通の生徒会だ。やりたいからやっている」
2EB6F, 22, 「なんで俺なんです?」
2EB86, 11, fa11_003400
2EB92, 44, 「それは、生徒会に入ってくれたら説明しよう」
2EBBF, 20, 「入らなかったら?」
2EBD4, 11, fa11_003410
2EBE0, 32, 「悪いが、記憶を消させてもらう」
2EC01, 32, 冗談を言っている顔ではなかった。
2EC22, 14, 「記憶を……」
2EC31, 11, fa11_003420
2EC3D, 64, 「ここ2週間、君がこの島に来てからの記憶を丸ごと消させてもらう」
2EC7E, 11, fa11_003430
2EC8A, 60, 「俺たちの記憶だけを消すような、器用な真似はできないのでね」
2ECC7, 11, fa11_003440
2ECD3, 42, 「記憶を消した後は、一切、君に関わらない」
2ECFE, 20, 「それを信じろと?」
2ED13, 11, fa11_003450
2ED1F, 28, 「信じてくれとしか言えない」
2ED3C, 20, むりやり絡んできて、
2ED51, 36, むりやり血を吸ってるところを見せて、
2ED76, 24, むりやり正体を明かして、
2ED8F, 42, それで思い通りにならなければ、記憶を消す。
2EDBA, 28, 相手のことなんてまるで無視。
2EDD7, 22, 子供かと言いたくなる。
2EDEE, 32, 「ほとんど、おもちゃ扱いですね」
2EE0F, 11, fa11_003460
2EE1B, 50, 「だが、そうでもしなければ俺たちは友人が作れない」
2EE4E, 8, 友人か。
2EE57, 16, 調子のいい話だ。
2EE68, 11, fa11_003470
2EE74, 52, 「判断は支倉君に任せるよ。心が決まったら教えてくれ」
2EEA9, 11, fa12_000830
2EEB5, 44, 「補足しておくが、記憶を消すのに痛みはない」
2EEE2, 11, fa12_000840
2EEEE, 62, 「以後は、安全な生活を保障しよう。もちろん君の友人を含めてだ」
2EF2D, 11, fa12_000850
2EF39, 74, 「新学期は始まってしまったが、それでも2週間だ。いくらでもやり直しはきく」
2EF84, 12, 2週間……。
2EF91, 34, つまり、俺が島に来てからこっちだ。
2EFB4, 70, この期間の記憶を失うってことは、つまり、またゼロから始めるってことだ。
2EFFB, 16, 友人の顔を覚え、
2F00C, 16, 教師の顔を覚え、
2F01D, 12, 施設を覚え、
2F02A, 22, 学院のルールを覚える。
2F041, 40, 並べてみて、意外に簡単なことだと気づく。
2F06A, 58, なにせ、今まで同じようなことを20回も繰り返して来たのだ。
2F0A5, 50, 20回が21回になったところで痛くもかゆくもない。
2F0D8, 16, それだけのこと。
2F0E9, 22, それだけのことなんだ。
2F100, 32, また転校したと思えばオールOK。
2F121, 50, それで、この人たちとの関係もきれいさっぱり清算だ。
2F154, 36, 吸血鬼の友人なんて作ってなんになる?
2F179, 44, 重っくるしい秘密を、墓場まで抱えていくのか?
2F1A6, 14, やり直すんだ。
2F1B5, 22, 俺の新しい学院生活を。
2F1CC, 18, ……心は決まった。
2F1DF, 18, なぜかためらった。
2F1F2, 11, fa11_003480
2F1FE, 8, 「いえ」
2F207, 8, なんだ?
2F210, 38, もう一度、自分の気持ちを見つめるが……
2F237, 16, よくわからない。
2F248, 60, ただ、さっきも感じた熱さが腹の底でぐるぐると渦を巻いていた。
2F285, 22, 気にするのはやめよう。
2F29C, 18, 大事の前の小事だ。
2F2AF, 16, 「決心しました」
2F2C0, 24, 「記憶を消してください」
2F2D9, 24, まっすぐ前を見て言った。
2F2F2, 38, 会長も東儀先輩も、表情を変えなかった。
2F319, 30, ただ、副会長だけが唇をかんだ。
2F338, 11, fa11_003490
2F344, 16, 「ふぅーーーー」
2F355, 22, 会長が大きく息を吐く。
2F36C, 11, fa11_003500
2F378, 18, 「しょうがないか」
2F38B, 12, 笑顔で言う。
2F398, 11, fa01_003740
2F3A4, 40, 「ごめんなさいね、いろいろわずらわせて」
2F3CD, 11, fa01_003750
2F3D9, 64, 「でも、あなたのことを考えれば、そのほうがいいかもしれないわね」
2F41A, 32, 副会長はすこし寂しそうに笑った。
2F43B, 12, 「ごめんな」
2F448, 11, fa01_003760
2F454, 32, 「いいわ、悪いのはこっちだから」
2F475, 11, fa11_003510
2F481, 52, 「さて、湿っぽくなるから、さっさとすませてしまおう」
2F4B6, 12, 「今から?」
2F4C3, 11, fa12_000860
2F4CF, 40, 「伸ばしても君の時間を無駄にするだけだ」
2F4F8, 11, fa12_000870
2F504, 46, 「記憶を消したあとは1日ほど意識を失うと思う」
2F533, 11, fa12_000880
2F53F, 74, 「夜になったら、俺たちが君を寮の近くまで運ぶ。一般生徒に発見されるように」
2F58A, 11, fa12_000890
2F596, 68, 「こちらは、発見されたら病院に運んでもらえるような流れを作っておく」
2F5DB, 26, 「どうしてそんなことを?」
2F5F6, 11, fa12_000900
2F602, 90, 「病院のベッドで目覚めたら記憶がなくなっていたという状況は、周囲が受け入れやすいだろう?」
2F65D, 11, fa12_000910
2F669, 20, 「特に君の友人がな」
2F67E, 56, あらかじめ決めていたのか、何度も試したことがあるのか……
2F6B7, 32, 東儀先輩は、さらさらと説明した。
2F6D8, 11, fa11_003520
2F6E4, 44, 「それじゃ、記憶を消すのは瑛里華、頼んだよ」
2F711, 11, fa01_003770
2F71D, 16, 「はあぁっ!?」
2F72E, 11, fa01_003780
2F73A, 52, 「ば、ばか言わないで、それは兄さんの仕事でしょっ!」
2F76F, 11, fa11_003530
2F77B, 46, 「彼に記憶があって、一番困るのは瑛里華だろ?」
2F7AA, 11, fa01_003790
2F7B6, 18, 「なんで私がっ!」
2F7C9, 11, fa11_003540
2F7D5, 42, 「俺、別に記憶を消さなくてもかまわないし」
2F800, 10, おいおい。
2F80B, 34, 「あの、生徒会には入りませんよ?」
2F82E, 11, fa11_003550
2F83A, 18, 「あー、違う違う」
2F84D, 11, fa11_003560
2F859, 64, 「昨日の女の子の記憶消しちゃったからさ、当分は力が使えないんだ」
2F89A, 11, fa11_003570
2F8A6, 60, 「だから俺の場合、もうちょっと直接的な方法で忘れてもらうよ」
2F8E3, 22, 言葉の意味はつまり……
2F8FA, 6, 殺す。
2F901, 11, fa11_003580
2F90D, 26, 「できないと思ってるの?」
2F928, 24, 全身がざわりと総毛立つ。
2F941, 16, 理屈なんかない。
2F952, 20, これは本能の世界だ。
2F967, 10, 殺される。
2F972, 16, 確実に殺される。
2F983, 54, 血を吸うとか、身体能力が高いとか、記憶を消せるとか……
2F9BA, 32, そんな細かい証拠はどうでもいい。
2F9DB, 24, この人は、違う生き物だ。
2F9F4, 36, 人間を餌として活動する生き物なんだ。
2FA19, 11, fa11_003590
2FA25, 70, 「といっても、こういう怯えた顔はもうされたくないので、瑛里華、頼むよ」
2FA6C, 11, fa01_003800
2FA78, 40, 「卑怯だわ、こういうことだけ押しつけて」
2FAA1, 54, 彼女も、会長が本気であることはわかっているようだった。
2FAD8, 11, fa11_003600
2FAE4, 64, 「お前が日頃からたるみすぎなんだ。しょっちゅう言われてるくせに」
2FB25, 11, fa01_003810
2FB31, 20, 「お説教はけっこう」
2FB46, 30, 片手で遮り、副会長は俺を見た。
2FB65, 11, fa01_003820
2FB71, 14, 「いいのね?」
2FB80, 11, fa01_003830
2FB8C, 14, 「潔いことで」
2FB9B, 36, 苦虫をかみつぶしたような顔で言った。
2FBC0, 11, fa01_003840
2FBCC, 14, 「二人にして」
2FBDB, 11, fa11_003610
2FBE7, 16, 「よろしくね~」
2FBF8, 11, fa12_000920
2FC04, 18, 「支倉、お別れだ」
2FC17, 22, 「お世話になりました」
2FC2E, 11, fa12_000930
2FC3A, 8, 「いや」
2FC43, 42, 表情を変えぬまま、東儀先輩がドアに向かう。
2FC6E, 11, fa11_003620
2FC7A, 22, 「期待してたんだがね」
2FC91, 30, 「ご期待に添えずすみませんね」
2FCB0, 11, fa11_003630
2FCBC, 14, 「ま、いいさ」
2FCCB, 11, fa11_003640
2FCD7, 76, 「生きてきた道に責任を持てない男なんざ、俺の部下としちゃ不十分もいいとこだ」
2FD24, 12, 「なっ!?」
2FD31, 44, 身を乗り出し、俺の胸に人差し指を突きつける。
2FD5E, 11, fa11_003650
2FD6A, 46, 「ここはね、意志ある者だけが輝ける舞台なのさ」
2FD99, 11, fa11_003660
2FDA5, 62, 「せっかくやり直すんだ。性根から入れ替えるのをオススメするよ」
2FDE4, 38, ちょんっと俺をつついて、会長は離れた。
2FE0B, 11, fa11_003670
2FE17, 38, 「それじゃ、楽しいニュー学院ライフを」
2FE3E, 5, yuuhi
2FE44, 30, いつの間にか、日が傾いていた。
2FE63, 58, 残陽が差し込み、部屋には息が詰まるほどの赤が充満している。
2FE9E, 52, 逆光に立つ副会長は、ますますその美貌を輝かせていた。
2FED3, 32, 対峙する副会長に表情はなかった。
2FEF4, 11, fa01_003850
2FF00, 18, 「始めましょうか」
2FF13, 20, 「どうすればいい?」
2FF28, 11, fa01_003860
2FF34, 28, 「座っていてくれればいいわ」
2FF51, 28, そう言って、俺の前に立った。
2FF6E, 11, fa01_003870
2FF7A, 22, 副会長は目をつむった。
2FF91, 36, 足を肩幅ほどに広げ、大きく息を吸う。
2FFB6, 36, 暫時、肺に息を留め、静かに吐き出す。
2FFDB, 10, eve_010101
2FFE6, 7, slash01
2FFEE, 7, slash02
2FFF6, 8, w_ring01
2FFFF, 8, w_line01
30008, 8, w_line02
30011, 14, eve_mask010101
30020, 8, w_line03
30029, 14, eve_mask010102
30038, 7, kodou01
30040, 14, ゆっくりと──
3004F, 12, st_anbient01
3005C, 22, 彼女の双眸が開かれる。
30073, 30, すでに、スイッチは入っていた。
30092, 86, 森の奥にたたずむ湖のように澄んだサファイアの瞳は、いまや紅蓮のルビーへと変貌していた。
300E9, 58, 彼女を包む空気は恐怖に逃げまどい、輝く髪を舞い上がらせる。
30124, 70, 内に凝縮された力を体中から噴き上げ、彼女はあらゆる存在を睥睨していた。
3016B, 10, これが──
30176, 8, 吸血鬼。
3017F, 48, 俺のちっぽけな想像は、一瞬で粉砕され跡形もない。
301B0, 96, 圧倒的な存在感の前で、俺は、自分がまだ生きているという確証を探し狂ったように唇を噛みしめていた。
30211, 20, 彼女が一歩踏み出す。
30226, 10, evf_010102
30231, 50, 聞こえるはずの足音は、風の渦に飲み込まれ霧散した。
30264, 28, ぶつりと、繊維が切れる感覚。
30281, 26, 口の中に鉄の味が広がった。
3029C, 58, それでも、さらなる確かさを求めて唇に歯を食い込ませていく。
302D7, 11, fa01_003880
302E3, 12, 「支倉くん」
302F0, 10, evf_010101
302FB, 56, 穏やかな、しかし揺るぎない動きで彼女の腕が突き出される。
30334, 34, 陽炎をまとった掌が俺の額に触れた。
30357, 36, どうしてこうなってしまったのか……。
3037C, 28, わずかな悔恨が胸をかすめる。
30399, 14, だがもういい。
303A8, 18, すべては終わりだ。
303BB, 11, fa01_003890
303C7, 22, 「悪く、思わないでね」
303DE, 12, white_sprite
303EB, 24, 額がじりじりと熱くなる。
30404, 34, やや遅れて後頭部が熱くなってきた。
30427, 8, 消える。
30430, 14, 俺の2週間が。 3043F, 28, 目をつむろうとしたそのとき、
3045C, 22, 俺は気づいてしまった。
30473, 22, 彼女の紅玉の瞳から──
3048A, 24, 涙がこぼれていることに。
304A3, 7, bg_3085
304AB, 13, tati_z010112a
304B9, 26, 「ふく、かいちょう……?」
304D4, 11, fa01_003900
304E0, 10, 「なによ」
304EB, 28, 副会長の手が小刻みに震える。
30508, 16, 「どうして……」
30519, 11, fa01_003910
30525, 14, 「悔しいのよ」
30534, 11, fa01_003920 30540, 12, 「悔しいの」
3054D, 11, fa01_003930
30559, 110, 「記憶を消さなくてはならないことも、この学院に記憶を捨てられる人がいることも、それが私の友人だったこともっ!」
305C8, 11, fa01_003940
305D4, 44, 「一から十まで、すべてが悔しいのよっっ!!」
30601, 20, 副会長は叫んでいた。
30616, 58, 全生徒の憧れの的である副会長が、恥も外聞もなく叫んでいた。
30651, 11, fa01_003950
3065D, 46, 「なんで黙ってるのよ、何か言ったらどうなの?」
3068C, 58, 「どうせ記憶がなくなるんだ、いまさら何も言うことはないよ」
306C7, 11, fa01_003960
306D3, 52, 「そうやって、全部なかったことにして生きてきたのね」
30708, 34, 腹の底で、また火がくすぶり始める。
3072B, 38, 彼女の言葉に腹が立っているのではない。
30752, 62, ただなにか、自分を突き動かそうとする衝動がくすぶっているんだ。
30791, 11, fa01_003970
3079D, 52, 「ねえ、どうして簡単に記憶を消そうなんて思えるの?」
307D2, 11, fa01_003980
307DE, 74, 「この学院の生活は、消してしまっていいような、どうでもいいものだったの?」
30829, 11, fa01_003990
30835, 44, 「あなた、なんのためにこの学院に来たのよ?」
30862, 34, 目的なんて別にない、なんとなくだ。
30885, 44, 自分に言い聞かせるように、頭の中で反芻する。
308B2, 22, 『本当にそうなのか?』
308C9, 28, 不意に、そんな疑問が浮かぶ。
308E6, 74, はじめて校門に立ったとき、自分は確かに、新しいものへの期待に包まれていた。
30931, 66, それは、なにかを変えたいと心のどこかで思っていたからじゃないのか?
30974, 28, 俺は、なにかを変えたかった。
30991, 42, 渡り鳥みたいな生活に嫌気がさしていたのだ。
309BC, 46, 誰とどんなに親しくなっても、すぐに訪れる別れ。
309EB, 42, そのたびに味わう、身を裂かれるような辛さ。
30A16, 44, そんな生活を何度も繰り返すうちに、俺は……。
30A43, 64, 環境にとけ込む術ばかりを身につけ、友人を作ることをしなくなった。
30A84, 48, この島での件があってからは、なおさらそうだった。
30AB5, 22, 部活だって同じことだ。
30ACC, 26, 迷惑をかけるから入らない。
30AE7, 34, それは一面で真実だが、本当は違う。
30B0A, 54, 確定した別れが恐くて、人とつながる場を避けていたんだ。
30B41, 80, 俺がなかったことにしてきたのは、人と深くつながりたいという、本当に単純な欲求だ。
30B92, 36, その瞬間、腹の底の火は炎の渦となり、
30BB7, 28, 『今ごろ気がついたのかい?』
30BD4, 42, とでも言うように、赤い舌をチロリと出した。
30BFF, 12, ああそうだ。
30C0C, 28, 今になって、やっと気づいた。
30C29, 62, だから俺は、両親の誘いを蹴ってまで、全寮制のここを選んだんだ。
30C68, 11, fa01_004000
30C74, 28, 「もういいわ。時間の無駄ね」
30C91, 36, 副会長の瞳には、炎が揺らめいていた。
30CB6, 34, 額に当てられた掌が、再び熱くなる。
30CD9, 16, 何かを変えたい。
30CEA, 46, 明確にではないものの、そう思って入学した学院。
30D19, 42, その2週間が、今まさに消えようとしている。
30D44, 28, 転校をもう一回するだけ……。
30D61, 28, さっきまではそう考えていた。
30D7E, 50, でもそれじゃ、昔と同じことを繰り返しているだけだ。
30DB1, 10, 「副会長」
30DBC, 11, fa01_004010
30DC8, 34, 「しゃべらないで。集中できないわ」
30DEB, 12, 「もういい」
30DF8, 11, fa01_004020
30E04, 10, 「何が?」
30E0F, 42, 「俺の記憶を、俺の2週間を消さないでくれ」
30E3A, 11, fa01_004030
30E46, 18, 「怖くなったの?」
30E59, 60, 「副会長のおかげで、俺がなんでここに来たのか思い出せたんだ」
30E96, 11, fa01_004040
30EA2, 28, 副会長が、無言で手を下ろす。
30EBF, 58, 「少なくとも、消えてもいいような時間を過ごすためじゃない」
30EFA, 36, 真意を探るように、副会長が俺を見る。
30F1F, 50, 俺は強い視線に負けないよう、じっと彼女を見据えた。
30F52, 11, fa01_004050
30F5E, 38, 「……怖じ気づいたわけではなさそうね」
30F85, 28, 彼女を包んでいた力が消える。
30FA2, 11, fa01_004060
30FAE, 42, 「おかげで、人の記憶を消さなくてすんだわ」
30FD9, 24, 安堵したように息を吐く。
30FF2, 11, fa01_004070
30FFE, 30, 「でも、どういう心境の変化?」
3101D, 66, 「転校が嫌で全寮制の学校に来たんだ。今さら転校を繰り返したくない」
31060, 32, 何かを変えたくてここに来た、とか
31081, 22, 友人が欲しかった、とか
31098, 40, ホントの理由は恥ずかしくて言えなかった。
310C1, 11, fa01_004080
310CD, 58, 「そう。ちょっと後ろ向きな気もするけど、見逃してあげるわ」
31108, 14, 「ありがとう」
31117, 11, fa11_003680
31123, 14, 「終わった?」
31132, 28, 会長と東儀先輩が入ってくる。
3114F, 11, fa11_003690
3115B, 8, 「おや」
31164, 11, fa11_003700
31170, 18, 「おやおやおや?」
31183, 20, まじまじと俺を見る。
31198, 32, 「記憶消すの、ナシにして下さい」
311B9, 11, fa11_003710
311C5, 18, 「どうしてまた?」
311D8, 11, fa11_003720
311E4, 36, 「瑛里華の迫力に怖くなったのかい?」
31209, 26, 「いえ、気が変わりました」
31224, 11, fa12_000940
31230, 16, 「どのように?」
31241, 11, fa11_003730
3124D, 40, 「それはいいじゃないか。彼自身の問題だ」
31276, 11, fa11_003740
31282, 36, 「俺としては、仲間が増えて嬉しいよ」
312A7, 26, 両手を大げさに広げる会長。
312C2, 11, fa01_004090
312CE, 22, 「そのことなんだけど」
312E5, 11, fa01_004100
312F1, 72, 「私は、秘密さえ守ってくれれば、生徒会に入ってくれなくてもいいと思うわ」
3133A, 11, fa11_003750
31346, 46, 「記憶と生徒会、二者択一ってことだったはずだ」
31375, 11, fa01_004110
31381, 54, 「私への相談もなく、兄さんが勝手に進めたことでしょ?」
313B8, 11, fa01_004120
313C4, 58, 「私は、支倉くんがここに入っても入らなくてもかまわないし」
313FF, 11, fa11_003760
3140B, 46, 「そりゃないだろ~。俺は瑛里華のためを思って」
3143A, 11, fa01_004130
31446, 22, 「人のせいにしないで」
3145D, 11, fa12_000950
31469, 48, 「俺も、秘密さえ守れるのなら、無理強いはしない」
3149A, 11, fa11_003770
314A6, 18, 「征、寝返ったな」
314B9, 20, 内輪もめが始まった。
314CE, 56, 俺が生徒会に入るってことは、この輪の中に入るってことだ。
31507, 16, ……悪くないな。
31518, 22, いや、それじゃだめだ。
3152F, 26, 俺は、何かを変えたいんだ。
3154A, 80, この2週間で生まれた人とのつながりを、もっともっと大切にしていかなきゃならない。
3159B, 36, 俺の学院生活は、俺が作っていくんだ。
315C0, 18, 「待ってください」
315D3, 11, fa11_003780
315DF, 11, fa01_004140
315EB, 10, 「なに?」
315F6, 42, 火花を散らしていた兄妹が、同時に俺を見る。
31621, 30, 「生徒会にぜひ入れてください」
31640, 11, fa01_004150
3164C, 14, 「ええっ!?」
3165B, 20, 嫌そうな顔をされた。
31670, 12, 軽くへこむ。
3167D, 11, fa11_003790
31689, 26, 「フィーーーーッシュ!!」
316A4, 12, 魚じゃねえ。
316B1, 11, fa12_000960
316BD, 32, 「これで少しは仕事が楽になるな」
316DE, 34, 「これから、よろしくお願いします」
31701, 11, fa11_003800
3170D, 54, 「もちろんだ。思う存分よろしくしてあげようじゃないか」
31744, 11, fa12_000970
31750, 28, 「こちらこそ、よろしく頼む」
3176D, 20, 二人と握手を交わす。
31782, 52, 残った副会長は、腰に手を当てて不機嫌そうにしていた。
317B7, 48, 会長と東儀先輩、俺の三人の視線が彼女に注がれる。
317E8, 11, fa01_004160
317F4, 12, 「な、何よ」
31801, 20, ぷいっと顔を背ける。
31816, 22, 「歓迎されてませんね」
3182D, 11, fa11_003810
31839, 36, 「いろいろ難しい年頃だからねえ……」
3185E, 11, fa01_004170
3186A, 56, 「ま、支倉くんがいいって言うなら、こっちも気にしないわ」
318A3, 11, fa01_004180
318AF, 62, 「でも、入れてくださいってスタンスが気に入らないわね、非常に」
318EE, 30, 「わかってる。精一杯頑張るよ」
3190D, 11, fa01_004190
31919, 12, 「あーもー」
31926, 26, 髪をくしゃりとする副会長。
31941, 11, fa01_004200
3194D, 20, 「しょうがないわね」
31962, 42, そう言って、まぶしいほどの笑みを浮かべた。
3198D, 11, fa02_000910
31999, 34, 「あの、お取り込み中でしょうか?」
319BC, 2, 白
319BF, 46, 気がつくと、ドアから白ちゃんが中を覗いていた。
319EE, 11, fa11_003820
319FA, 34, 「白ちゃん、ちょうどいいところに」
31A1D, 11, fa02_000920
31A29, 16, 「え、え、え?」
31A3A, 38, 有無を言わさず部屋に引っ張り込む会長。
31A61, 30, 白ちゃんはきょとんとしている。
31A80, 11, fa11_003830
31A8C, 28, 「素晴らしい報告があるんだ」
31AA9, 11, fa02_000930
31AB5, 32, 「……あ、支倉先輩、こんにちは」
31AD6, 18, 「こ、こんにちは」
31AE9, 28, いきなり間をはずす白ちゃん。
31B06, 22, これはある意味、技だ。
31B1D, 11, fa11_003840
31B29, 16, 「あー、こほん」
31B3A, 11, fa11_003850
31B46, 48, 「実はね、支倉君が生徒会に入ることになったんだ」
31B77, 11, fa02_000940
31B83, 14, 「本当ですか」
31B92, 20, 「ああ、よろしくね」
31BA7, 11, fa02_000950
31BB3, 20, 「はい、こちらこそ」
31BC8, 11, fa11_003860
31BD4, 70, 「そうだ、支倉君の入会を記念して、今夜は街にでも繰りだそうじゃないか」
31C1B, 11, fa01_004210
31C27, 42, 「そんな理由じゃ、外出許可が下りないわよ」
31C52, 11, fa11_003870
31C5E, 32, 「堅っ苦しい学院だね、まったく」
31C7F, 24, それが生徒会長の発言か。
31C98, 11, fa12_000980
31CA4, 40, 「では、鉄人にでも腕をふるってもらうか」
31CCD, 11, fa01_004220
31CD9, 20, 「あの人、量が……」
31CEE, 11, fa11_003880
31CFA, 40, 「いざとなれば、主賓が片づけてくれるさ」
31D23, 46, 動けなくなるまで食わされそうな予感がするが……
31D52, 10, まあいい。
31D5D, 38, 今日はとことんやってやろうじゃないか。
31D84, 34, 新しい学院生活の第一歩にするんだ。
31DA7, 11, fa12_000990
31DB3, 40, 「戸締まりをするから、先に出ていてくれ」
31DDC, 11, fa11_003890
31DE8, 32, 「白ちゃん、俺と一緒に出よっか」
31E09, 11, fa12_001000
31E15, 20, 「白、瑛里華と行け」
31E2A, 11, fa02_000960
31E36, 12, 「え、はい」
31E43, 11, fa11_003900
31E4F, 42, 「ほんと過保護なお兄ちゃんだよ、まったく」
31E7A, 11, fa01_004230
31E86, 30, 「支倉くん、先に出てましょう」
31EA5, 30, 外は、すっかり暗くなっていた。
31EC4, 36, 学院で一番高いところにある監督生棟。
31EE9, 36, ここからは、学院のすべてが見渡せた。
31F0E, 32, 静かなたたずまいを見せる旧敷地。
31F2F, 36, 月明かりに照らされ、白く輝く新敷地。
31F54, 60, そして、都会の高層ビルのように、無数の明かりの灯った白鳳寮。
31F91, 11, fa01_004240
31F9D, 48, 「あの明かり、一つひとつが学院を作っているのよ」
31FCE, 20, 隣に、副会長が立つ。
31FE3, 11, fa01_004250
31FEF, 28, 「学院は、いわばステージよ」
3200C, 11, fa01_004260
32018, 68, 「私たちは裏方として、みんながよりよい生活を送れるよう働いているの」
3205D, 40, 寮の明かりを見つめながら、副会長が言う。
32086, 38, その表情は穏やかで、飾り気がなかった。
320AD, 11, fa01_004270
320B9, 48, 「それと、もう一つ忘れないで欲しいことがあるわ」
320EA, 11, fa01_004280
320F6, 28, 「私たちも、生徒だってこと」
32113, 18, 副会長が俺を見る。
32126, 12, 「頑張るよ」
32133, 11, fa01_004290
3213F, 38, 「まったく支倉くんは、覇気がないわね」
32166, 11, fa01_004300
32172, 50, 「胸を張りなさい、ここでは私たちが主役なんだから」
321A5, 26, ばんっと背中をたたかれた。
321C0, 12, 「お、おう」
321CD, 10, 胸を張る。
321D8, 11, fa01_004310
321E4, 12, 「もっと!」
321F1, 16, さらに胸を張る。
32202, 11, fa01_004320
3220E, 12, 「よろしい」
3221B, 50, 満足そうにうなずいて、副会長は再び寮に目をやった。
3224E, 50, 俺は今までずっとステージに上がってこなかったんだ。
32281, 56, 主役でもなく脇役でもなく、舞台に関わることを拒んできた。
322BA, 52, だから、傷つきもしなかったが、楽しいこともなかった。
322EF, 68, そんな自分の態度に嫌気がさしている自分にすら気づけていなかったんだ。
32334, 22, だが、今日からは違う。
3234B, 26, 俺もステージに上がるんだ。
32366, 32, 修智館学院という名のステージへ。
32387, 13, data06010.arc
32395, 11, fa12_001010
323A1, 20, 「鍵は全部閉めたぞ」
323B6, 11, fa11_003910
323C2, 14, 「お疲れさん」
323D1, 11, fa12_001020
323DD, 8, 「伊織」
323E6, 11, fa11_003920
323F2, 11, fa12_001030
323FE, 36, 「こうなることもわかっていたのか?」
32423, 11, fa11_003930
3242F, 12, 「もちろん」
3243C, 11, fa11_003940
32448, 36, 「……と言ったほうがかっこいいかな」
3246D, 11, fa12_001040
32479, 10, 「知らん」
32484, 11, fa11_003950
32490, 66, 「しかし、よかったじゃないか。征も彼のこと気に入ってたみたいだし」
324D3, 11, fa12_001050
324DF, 14, 「そこそこな」
324EE, 11, fa11_003960
324FA, 38, 「俺も、いじりがいのある奴は好きだね」
32521, 11, fa11_003970
3252D, 54, 「ときどき、真っ向から反論してくるのがたまらなくいい」
32564, 11, fa12_001060
32570, 16, 「屈折してるな」
32581, 11, fa12_001070
3258D, 58, 「ああ、もしかしたら支倉は、あの方と似てるのかもしれない」
325C8, 11, fa11_003980
325D4, 14, 「そうかもな」
325E3, 11, fa12_001080
325EF, 32, 「ところで、責任はとれるのか?」
32610, 11, fa11_003990
3261C, 12, 「なんの?」
32629, 11, fa12_001090
32635, 14, 「支倉の件だ」
32644, 11, fa11_004000
32650, 40, 「責任なんて取らないよ。取る必要もない」
32679, 11, fa11_004010
32685, 66, 「彼は自ら選択したし、これからも選択し続ける。もちろん瑛里華もね」
326C8, 11, fa11_004020
326D4, 42, 「そのどこに、俺が責任を取る必要がある?」
326FF, 11, fa12_001100
3270B, 40, 「正論ではあるが、人として間違っている」
32734, 11, fa11_004030
32740, 20, 「人じゃないからな」
32755, 11, fa11_004040
32761, 34, 「とはいえ、けじめは俺がつけよう」
32784, 11, fa11_004050
32790, 40, 「あの人への報告は、きちんと俺がするよ」
327B9, 11, fa11_004060
327C5, 16, 「征も行くか?」
327D6, 11, fa12_001110
327E2, 36, 「そうだな。お前だけだと喧嘩になる」
32807, 11, fa11_004070
32813, 20, 「ははは、違いない」
32828, 11, fa11_004080
32834, 40, 「それじゃ、まずは支倉君を歓迎しようか」
3285D, 4, ed01
32862, 4, ed02
